第2話ー幽霊森の冒険ー

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「おいズリーぞアル!お前だけ食いやがって!」 「ムグムグ!うるへー!拾ったんだから俺んだ!」 アルとロージは、こんな絶景を前にしても相変わらずヤンチャ者だ。 「もう、2人ともこういうロマンチックな所は静かにするもんだよー?」 「だって腹減ったんだもんよー。」 ロージは、何とかアルからパン切れを取ろうと必死だ。 「…アル、ところでそのパン切れは誰の?」 レイの顔色が、サァと引く。 「ん?お前が落としてたから、勿体ねーと思って全部食ってたよ、最初から。」 「!!」 血の気が、引きに引いた。 「こ、んのっ…バッカやろーーーー!!」 ゴンッ!! 「ドゥプッ!?」 渾身のゲンコツが、アルの脳天に突き刺さった。 「なっ、何すんだよレイ!痛ってーーな!」 「バカ!このバカアル!食欲お化け!」 「はぁ!?」 マズい、この状況は目の前の絶景を忘れてしまう程にマズい。 「…帰り道迷わないように、パン切れ落としてたの!それを辿って帰る予定だったのに…!」 「まさか、アルの食べてるパン切れって。」 アリアも話の流れから理解し、血の気が引いた。 「このバカーー!!どーやって帰んのよ!?ただでさえ猪に追い掛けられて方向覚えてないのに!!」 「…………ふむ。」 アルは、顎を摩る。 「遭難だな、こりゃ。」 「「お前が言うな!!」」 ガン!! 「フガッ!?」 「えぇ~…!これどうするの~…!?」 ロージとレイのWツッコミ、その後のアリアの嘆きは悲痛だった。
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