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カツッ。
少年は虫を踏みそうになって、慌てて足踏みを変えた。
「っとと、危ない危ない…」
ここは魔法大国・アルカディア。
五大国の中でも最も文化的に栄えており、他国の人種も多く住まうこの町。
全種族の入国・定住の双方を認可しているのは五大国の中でもこのアルカディアのみだ。
「あ~…ヒーマだなっ…とぉっ。」
けしっ。
足元の小石を蹴り、坂の多い街並みを行く。
少年の名は、【アルヴィン・オーバード】。紅毛の髪に、同色の瞳には目がチカチカする。
今年で6歳の彼は、地元では元気な少年として有名だ。
『アルーーーッ!!』
「っ!!」
ビクッ!と、アルヴィンの肩が跳ねた。
「れっ、レイ…!?」
「探したわよっ!!今日は逃さないんだから!」
…主に恐怖の意味で。
アルを鋭く睨む少女は、【レイ・ワルツ】、オレンジ色の髪に茶の瞳は快活な印象を抱く。
「今日という今日は、ちゃんとおばさんのお店手伝いなさいよー!!」
「ぃ、イヤだって~!あんなのヒマだしっ!喫茶店のやりくりなんてかーちゃん1人で事足りてるっての!」
少年アルは、レイにいつも追われてばかりだ。
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