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「散々悩んでああなったんだけど、よかった、かな?」
「すっごく嬉しかった。…燈に甘党がバレていると思わなかったけどね」
「私だって聞いたときびっくりしたよ…」
「……やっとあの日、二人で出掛けてた理由もわかったし、いろいろすっきりした」
「ごめん、言えなくて」
「誕生日の存在忘れてたから、全然わかんなかった…」
ソファーに腰掛けながら、二人でゆるく会話を弾ませる。
こういう時間、すごく好きだなあ。
背もたれに身体を預け、天井を見つめながらそう思っていると、千歳が「こういう感じ、俺すごく好き」と言ってきた。同じこと考えていたんだ、と千歳に視線を移すと。
唐突に手が伸ばされ、頬へとその長い指が触れたあと、優しく撫でられたかと思えば、ゆっくりとその薄い唇を合わせた。
唇から伝わる体温に胸が高鳴るのを感じながら、確実に深くなっていくキスに対応する。
自分なりに上手くいっているのではと思い始めたそのとき、歯列を器用になぞられ、息が上がる。余裕そうに翻弄する千歳にむかつきながら胸を強く叩くと、ようやく離してくれた。
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