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「えへへっ。たっくん、気持ち良かったよぉ」
毛布を頭まで被り、照れた顔を隠すようにして彼女――美玖がゴロゴロと転がり続けている。
俺たちが中学生なら互いに浮かれてしまうかもしれないが、あと半年程で高校卒業を控えた十八歳なのだ。別に初めて行為に及んだ訳でもないし、いつもと変わらない俺の部屋のベッドの中。おまけに付き合い始めてもう五年も経つのだから、そろそろ恥ずかしがるのも卒業してはどうだろうか。
「で、でもね。美玖は、たっくんの事が大好きだから、やっぱりその……ね、嬉しいんだよぉ」
「はいはい。美玖はお子ちゃまだからな。可愛い、可愛い」
「むぅー、また子供扱いするー。学年は同じだけど、美玖の方が誕生日は早いんだからねっ」
美玖が毛布を巻き込まずにゴロゴロと転がり、そのまま寝転ぶ俺の上に乗り上げて来た。彼女なりの攻撃なのかもしれないが、中学生に見間違われる事がある程小柄な身体なので、乗られた所で痛くも無いし、重くも無い。むしろ柔らかくて温かい美玖の身体が密着しているのだから、ご褒美だろう。もう一回したいのかな?
そんな事を考え、彼女の小さなお尻に手を伸ばそうとしたところで、俺の胸に顔を埋めていた美玖が、ひょこっと顔を上げる。
「ところで、たっくんの言ってた話ってなぁにー?」
「話? 何だっけ? 今日、泊まって行くかって事だっけ?」
「ちがうよぉ。今日は美玖じゃなくて、たっくんのお家の都合が……って、そうじゃなくて。ほら、その……愛し合う前に、言ってたじゃない」
「あー、あれな。あの話な」
いつもの様に学校から一緒に帰ってきて、今日こそ話そうと思ってたのについムラムラしてしまい、そして結局話をする前に「美玖ちゃんも、ご飯食べて行く?」なんて、母さんが空気を読まずに乱入してくるんだよな。
「えっと、いいんですか? でも、今日は葵ちゃんが帰ってくる日ですよね?」
「いいわよー、そんなの気にしなくてもー。それに美玖ちゃんは、もう既に我が家の一員みたいなものなんだから」
「すみません。では、お言葉に甘えて」
「はーい。じゃあ、風邪を引かないように気を付けてねー」
――パタン。トントントン……
「で、たっくん。あの話って?」
「いやいやいや、待って。全裸で俺の上に座りながら母親と普通に談笑って、おかしくない!? てか、いくらなんでもはっちゃけ過ぎだって!」
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