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ノックも無しに母さんが突然入って来たかと思うと、美玖が毛布で身体を隠しながらも座り直して、普通に会話。そして、何事も無かったかのように、再び俺の上に寝転がる。
いつから、こんなに動じない子になったんだ!? というか今ので動じないなら、終わった後にゴロゴロと恥ずかしそうにしなくても良くない!?
「えー、でもたっくんだって、少しも動かなかったじゃない。全然、動じてないよね?」
「俺は動かなかったんじゃなくて、動けなかったんだよ! 固まってたの!」
「えぇー、でも……こっちは硬くなってないよぉ?」
まさかのド下ネタをぶっこんできやがった。
もう突っ込む気にもなれなかったので美玖を俺の上から降ろし、クローゼットから部屋着を出す。俺に倣って美玖が着替え終えたのを見て、改めてベッドへと腰掛けた。
美玖は学校のブレザーに身を包み、短めのスカートから紺色のハイソックスに包まれた細い脚をバタバタと動かしている。サイドポニーに纏めた長い黒髪を弄りながら、何かを期待しているかのような大きな瞳が、まだかまだかと俺の顔を見詰めていた。
あぁもう、可愛いなぁ!
「じゃあ、前から美玖に言おう言おうと思ってた事があるから、聞いてくれ」
「うんっ。いいよっ」
「今度から、美玖の家でイチャイチャしないか?」
「えぇー、そんな話ー? そこは二人の結婚の話とかさ、将来の話とかさ、子供は何人欲しいとかって話じゃないのぉ?」
「いや、いくら愛し合っていても、俺たちはまだ高校生だしさ。ちゃんと美玖を養っていけるようになってからじゃないと……って、それよりこれだよ、これ」
立ち上がり、美玖を連れて部屋のドアへ。
ドアノブを数回回すと、付いていた鍵がポロッと床に落ちた。
「もう、何回目だよっ! どれだけ、部屋の鍵を壊せば気が済むんだよっ!」
「ま、まぁまぁ。お母さんも悪気があるわけじゃないんだし」
「故意にやってたら犯罪だよっ! もうっ、怪力過ぎるんだよ」
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