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「たっくん! しっかりしてっ! 恥ずかしいのはわかるけど、美玖のスカートの中に頭を入れて隠れようとしないでっ! それは、ただの変態さんだからっ!」
母親がすぐ傍に居る事に気付かず、恥ずかしい言葉を美玖に言ってしまった俺は、穴があったら入りたいと頭を抱える。
すると、目の前に隠れ心地の良さそうな、ちょうど頭一つ分程がぴったり収まりそうな紺色の布があるので、そこへ頭を突っ込んだ。
「こ、こんな辱めを受けたら、もう俺……お嫁にいけないっ!」
「今、辱めを受けているのは美玖の方よぉっ! それに、お嫁に行くのは美玖なんだからねっ! って、それよりスカートの中でクンカクンカしないでっ! ねぇ、たっくんってばぁっ!」
「……はっ! も、もしかして俺、またやらかした?」
「ふぅ、まぁちょっとだけね。でも美玖にならギリギリ構わないけど、他の女の子にしちゃダメなんだからねっ」
そんなの出来る訳が無い……と思いながらも、羞恥心で頭が真っ白になると、まるで発作の様に出てしまう自分の癖なので、断言は出来ないが。
「はぁ……この癖、マジで治らないかな」
「あ、今思い出したけど、幼稚園の頃は先生の胸に顔埋めてたよねー」
「そーだっけ? 俺、変態じゃねーか」
「あはは。でも幼稚園の頃なんて、男の子はみんな先生のおっぱい触って怒られてたじゃない。同じようなものだよー」
「同じかなー? ……って、それより治まったしメシにしよーぜ。母さんがまた乱入してきても嫌だしさ」
鍵の壊れた扉を開けて階段を下りた先、右手に我が鈴木家のリビングがある。
暖色系の照明の下に四人掛けのテーブルがあり、ご飯と味噌汁に焼き魚……って、今日は何だか朝食みたいな夕食だな。
「母さん。今日はどうしたんだ? いつもはパスタとかオムライスとか、洋食が多いのに」
「今日は葵が帰ってくるでしょ? ずっと海外に居たんだし、せっかくだから和食にしてあげようと思って」
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