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次の日雨が降った。
明日王様がやってくるってのに、今までブラッシングしてやったのが全部おじゃんだ。
山猫はデカ過ぎて雨宿りする場所がないから、雨が降ったら濡れるしかない。
山猫の頭に座って傘を差してやるが、山猫がデカ過ぎて何にもならない。
水を嫌がる様子もないし、意味がないかもしれないけど、雨の中一匹でビショビショに濡れそぼる姿がこいつが子猫だった頃を思い出させるので、不憫でたまに傘を差しかけに来てしまう。
山猫は村じゃ一番俺に懐いている。
デッキブラシのかけ方も俺が一番上手いし。
だからか、俺は山猫に結構甘い。
明日王様に謁見するのだから、見た目だけでも綺麗にしてやりたかった。残念だ。
空は灰色の厚い雲で覆われていて、雨は当分止みそうになかった。
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