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あれから大変だった。
突然の地響きに牛や馬が暴れ出したり、鳴き声で家の窓ガラスが割れたり。
でもいいんだ。
山猫にすっかりビビった王様は、王都に帰ると喚きだして、家来の人も安心した顔で馬車を引いて帰っていった。
俺は山猫が立てることが分かっただけでも嬉しい。
周りを驚かせてしまうからいつも座っていただけだった。
今も山猫は村のシンボルとして観光客を呼び寄せている。
今度、村に初めてのホテルが立つ予定で、一部では「山猫様」なんて呼び始めた。
でも何も変わらない。
俺がやってくると、山猫は子猫の時と同じ顔で出迎えてくれる。
だから今日も俺は、山猫の耳の後ろをブラッシングしてやるんだ。
山猫 終
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