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「ところで…沢村よ。
ここ最近、どうも妙な夢を見るんだ。お前は、三日も続けて全く同じ内容の夢を見るなんて事は有るかい?」
旧友の吉岡が、
中ジョッキのチューハイをチビリと一口飲んだ後に、出し抜けにそんな事を言って来た。
「…妙な夢だって?しかも三日続けて?ほぉ。そりゃ一体、どんな夢だい?」
私もジョッキ片手に聞き返す。
ここは、
北海道・札幌の歓楽街、ススキノの、とある居酒屋。
吉岡と私は小学校時代からの幼なじみで中学、高校も一緒…
まあ、大学はお互い別々の学校に通うようになったのだが、今でもこうして交流を続けている、いわば腐れ縁の仲だ。
私は現在、スポーツが盛んな大学に通っていて、柔道部員。
将来は、自分なりに『ヤワラの道』を極めて、自分の道場を持つのが夢だ。
一方、吉岡は文系の大学に通い、様々な古今東西の小説を読み漁る、大の読書家だ。
ちなみに基本、彼は心霊現象とかオカルト系の話は少し苦手な、どちらかと言えば怖がりな人間である。
それに対して私は、そのテの話は全く平気。
むしろ、今の大学の友人達といわゆる心霊スポット探検にワイワイと繰り出したりしている。
無論、今まで心霊体験をした経験はゼロ。
何も『見た』ことは無いし、何も『聞いた』ことも無い。
ある意味…それぞれにタイプが違う私と吉岡だが
お互いに妙に気が合い、時々、こうして今夜の様に二人で酒を酌み交わしたりしているのだ。
今日は、金曜日。
明日からの土日二日間、二人とも大学の講義は休みだった。
「それがさ。本当に妙な夢なんだよな…」
吉岡は、更にチューハイをチビリと飲むと言葉を続けた。
「詳しく話すと、実は今週の火曜日の晩から昨日…つまり木曜の晩までの三日間、立て続けに同じ夢を見てるんだけどさ」
「ほぉほぉ…」
私は、吉岡の話に更にあいづちを打った。
「で…どんな内容の夢か、と言うとだな…」
と、そこで彼が話してくれた夢の内容というのは、こうだ……。
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