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場所は、定かではないのだが…
どこか時代がかった板の間のその真ん中に、
可愛らしい白猫と黒猫が二匹で横一列に並んで、ちょこんと座っている。
そして、こちらを見ながら規則的に「ニャー」「ニャー」と交互に鳴き続けると言うのだ。
それは…
それぞれの猫が思い思いの適当なタイミングで鳴いていると言うよりは、
まるで二匹で示し合わせて調子を合わせているかの様に…
抜群のコンビネーションで、交互に「ニャー」「ニャー」と、鳴き続けているのだそうだ。
そして、
どういう訳か…
二匹のうちの片方一匹の顔だけが
全体的にぼんやりとした『モザイク』がかかっていて、
よく顔が分からないと言う…。
元来、猫好きな吉岡は、
「わぁ!可愛いなぁ!」と、その猫達を撫でようとして手を伸ばすのだが…
その途端、
その猫達は、二匹同時に
すーっと煙の様に消えてしまうのだと言うのだ。
そして、
その夢を吉岡はこれまでの三日間に毎晩、見続けているとの事だった。
「…な?
何とも、妙な夢だろ?」
夢の中身を説明し終えた吉岡が私の顔をじっと見ながら言った。
「うーん」
私は枝豆を口に放り込みながら、微妙なあいづちを打った。
私は、別に『夢占い』なんてものはやらないし、ましてや精神科の医者でもないので『夢分析』なんてものも全く分からない。
夢なんてものは…
見ている本人にも内容が意味不明で理解不能なものも結構有ったりする。
それ程、気にする事もないのではないだろうか。
まあ…
三日続けて同じ夢を見るともなると確かに妙と言えば、妙ではあるけど…。
吉岡は…
更に言葉を続けた。
「…猫好きな俺の夢の中に猫が出て来るってのは、俺自身も頷ける…。今までもそんな夢は何度か見ているし。
でもな。三日続けて同じ夢を見るなんて事はこれまで無かったし、片方の猫の顔にモザイクがかかっているってのも何か妙だ。それに、俺がその猫達を撫でようとすると、すーっと消えてしまうのもこれまた妙な感じがするんだよな…」
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