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「……………」
と…
今度は…
いつの間やら、私の方が吉岡が見た夢の内容について気になりだしていた。
うーん…。
何か、気になる……。
私は、考え込みながら手に持ったチューハイのジョッキをぐいっと飲み干した。
そんな私の様子を知ってか知らずか、吉岡は
「さて!次は何を飲もうかな!二杯めもチューハイにしようかな。どうしようかな」と、傍らに置いてある居酒屋のメニューを開きだしていた。
「………」
私は…何か『引っ掛かり』を感じていた。
時代がかった板の間…。
その真ん中に、ちょこんと座っている可愛らしい白猫と黒猫…。
吉岡じゃないが、言われてみれば、この私もどこかで見たような気がしなくもないのだ…。
「ああっ!!」
と、不意に私の頭の中に『ある記憶』が甦った!
「お、おい!どうしたんだよ!沢村!急に大声出して」
吉岡が驚いた表情で口を開いた。
「い、いや!」
私は、少し興奮気味に身を乗り出した。
「ほら!
時代がかった板の間と白と黒の二匹の猫って…
吉岡も覚えてないか?!墨田商店!!!」
「…へ?」
吉岡は、一瞬きょとんとした表情になったが…
「ああっ!確かに!!」
と、私と同様、大声をあげた。
『墨田商店』というのは
私と吉岡が高校時代に毎日通っていた通学路の途中に有った小さな店である。
私と吉岡は、小学、中学、高校と一緒だった訳だが…
三年間、私達がJRで通ったその高校は、札幌市の隣のそのまた隣の田舎町に有った。
札幌在住の私と吉岡はJRで通学していた訳だが
その高校が有った町は農業の町で、駅前の商店街から一歩出ると見渡す限りの田園地帯が広がっていた。
通学時…
私達は、その田んぼの中の舗装された道を三十分近く歩いて高校へと通った。
そして、
その通学路の途中にポツンと建っていたのが…
墨田商店であった。
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