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田んぼ以外、その墨田商店の他に何も無い通学路…。
結果、その店は高校生達の『たまり場』となっていた。
かく言う、私と吉岡も何人かのクラスメイト達と一緒にその墨田商店にほぼ毎日、寄り道をした。
その店は、漫画にお菓子にジュースにと、高校生が喜びそうな様々な物を売っていて、
その上、店内にはお菓子を食べたりジュースを飲んだりできるいくつかの椅子とテーブルまで置いてあった。
(今で言うイートイン・コーナーの『ハシリ』みたいなものだな)
その墨田商店を切り盛りしていたのは一人のお婆ちゃん。
私達は、よく彼女の事を『墨田の婆ちゃん』と親しみを込めて呼んでいた。
墨田の婆ちゃんは、
とても優しい人でいつもニコニコ微笑みながら私達の話し相手にもなってくれ、私達が話すその日に有った学校での話を目を細めながら聞いてくれた。
高校のいわゆる『不良グループ』の連中も、
墨田の婆ちゃんには『一目置いている(?)』みたいで、店の中では何も悪さをせず、むしろ婆ちゃんの事をとても慕っていたように思う。
もちろん、私も吉岡も墨田の婆ちゃんの事が、めちゃめちゃ大好きだった。
そして…
その店は、とても古びた木造の建物で…
時代がかった板の間が有り…
何と!
お婆ちゃんは、
二匹の白と黒の猫を飼っていたのだ!
その二匹の猫達は、
いつも板の間にちょこんと座り、客として来た私達を見ると「ニャーニャー」と鳴いて出迎えてくれた。
その姿が、あまりにも可愛いので「わぁ!可愛いっ!」とばかりに、女子達からも男子達からもアイドル的な存在となってめちゃめちゃ可愛がられていた。
大の猫好きな吉岡なんか、まさに『猫可愛がり』で時々、エサの煮干しなんかをあげていたものだ。
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