6人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
青春~声なき声~
「………………!」
身体中から恐怖がたぎる。
口を開け、悲鳴をあげようとするのに、声にならない。
「………………!」
忌々しいほどに、能天気な息の漏れる音がする。
ヒタ、ヒタと感じる水の感触。
足元をうごめく何かの感触。
私は光を見ることを封じられ、地下牢のような薄暗い場所に閉じ込められている。
まるで、そんな風に、いつも何かに怯えていた。
何も知らない、何も出来ない、助けなんて求められない。
少しだけ背が伸びて、視界が変わって、その恐怖に打ち勝ち大人になろうとする人の子が、今日も懸命に叫んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!