進級

5/15
前へ
/151ページ
次へ
『自称・王』『次代権力者』こと、司堂時彦。 背は高いがやせ細った枯れ木のような体躯で、長い黒髪を女のように後ろで縛り、蛇のような眼をして誰に対しても蔑むような視線を送り、常に悪巧みばかりしてそうな顔をした男に、この学校の誰も逆らえない。 司堂は遠州市で勢力のかなり大きい宗教団体「鳳来天光会」の会長を父に持つお坊ちゃんで、生徒はおろか、その親までもが「あの人のやることに口を出したり立てついてはいけない」という暗黙の了解がある。 お坊ちゃんの機嫌を損ねたが最後、あらゆる手段を使って学校にこれなくさせられほぼ強制退学。ひどいときは生徒の両親まで被害を受け失業したり引っ越したりすることになる。 天光会はこの街の多くの企業や店舗と繋がりがあり、国の法律よりも天光会の規律のほうが優先されるくらいだ。 国の法律はここでは緩く、天光会の規律こそが矛盾があろうと強引だろうと絶対なのだ。 正論であれ生徒がその規律に逆らった時点で、この街で暮らしていけなくなる。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加