進級

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1年のとき、俺は司堂と同じクラスだった。 初対面のときクラスで奴と顔を合わせた途端、自分の第6感が"こいつとは絶対に関わるな"と伝達してきた。 俺の第6感はよく当たる。背中に何か強力な守護霊でも憑いているんだろう。 通学中、今日あの道を通るのをやめようと別の道を通っていくと、その道で車の衝突事故が起きて危うく巻き込まれるところだった、なんて序の口。 これまでいい加減な運転の自転車通学で事故に巻き込まれたことは何度もあったが大怪我というほどの負傷はしなかった。3日経てば血が止まる程度。 俺は頼りにしている第6感が伝達したように、この蛇のような眼をした陰険な顔の男とは一切口を交わすまいとした。 あいさつされても話しかけられても無視の一手。 2度3度無視を決め込んでいれば自然とむこうから距離を置くかと思っていたが、妙に馴れ馴れしく俺につきまとう司堂はなぜだか俺と仲良くしたがっていたようだ それでもずっとガン無視を決め込んだおかげで徐々に司堂から話しかけなくなっていった。付近にいることもなくなった。 1年の1学期、まだ知らない顔のクラスメートばかりの教室において、司堂の周囲にはすでに取り巻きが集まっていて司堂は自慢話ばかりしていた。 「2年3組の生徒は皆、おれの家来だ」だの「おれが指1本で指図すればそのクラスの担任が受業を放って走ってくる」だの、自分の父親の権威を傘に横暴ぶりたくてしかたないガキそのものだった。 聞きたくもないのにクラス内で延々喋ってるせいで俺の耳にまで届いてきた。 自慢げな顔をした奴に一言「くだらねえ」とつぶやいたのが因縁のきっかけだった。
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