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「あなたが嫌いと言った私に復讐しようと思って駅に降ろしたのね?」
「なっ。見くびるな。第一、お前みたいな地味女にいつまでも復讐心で執着するわけないだろ」
「ですよねー。今更復讐しようなどと器の小さい事、言いませんよねー」
「当たり前だ。それに復讐なら自ら手を下さずとも果たされたしな」
ん? 何の事ですか?
「お前が人を顔だけで判断するような人間に成り下がっていたって分かっただけで十分だ。……堕ちたな、お前」
ふんと笑う彼に、自分のこめかみ辺りにぴしりと青筋が立ったのを感じた。
自分の人間性が低いのは自覚していますよーだっ。でもあなただって、どうせ反応に困っている私を見て、内心、嘲笑っていたんでしょう?
「こら、待ちなさいよ。確かにあなたの事はイケメンだと言ったけど、だからと言って顔で人を好きになる訳じゃないよ。事実、あなたの事は好きじゃない」
「は? ふざけるな」
「ふざけてない。むしろ誰もが自分の事を好きになると思っているあなたにふざけんなと言いたい。ええ、むしろ嫌いだ!」
胸を張ってきっぱり言い切ると、彼は一瞬言葉を失い、目を見開いた。
「おまっ、今の俺に対しても、また嫌いだって言うのかよ!」
「ええ、ええ! 言ったが、どーした」
何だか売り言葉に買い言葉になってしまう。
いつの間にか到着していた準急列車から降りてきた人たちが、私たちをちらちらと見ながら歩いているけど、構うものですか。言いたい事は最後まで言い切ってやるんだから。
私はふてぶてしく腕を組んだ。
「そもそも何ですか? 痩せてイケメンになったからって、嫌いと言った私があなたにすり寄って行った訳でもないし。私に八つ当たりするのはお門違いでしょう?」
「お前とは高校から別々になって、モテ期絶頂の俺を見ていないから当然だろ」
「だからあ。イケメンだとしても、その粘着質な性格が嫌いだし、これからも好きにならないから安心なさいよ」
「は!? だから、ふざけるな」
「何よ、何怒ってるの? 痩せた途端に女性がすり寄って来たのが嫌なんでしょう? 私はそうじゃないって言ってあげているのに何で怒るのよ?」
「……っ、それは」
ふふん、何だか分からないけど勝った。
くっと言葉を詰まらせる彼に、ドヤ顔を送ってみる。
しかし彼は再び瞳に強い光を灯して、こちらを睨み返して来た。
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