Part1 やはりJK部に非日常を求めるのは間違っている

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 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 「あーあ。退屈だぜ」  だるそうに伸びをしてから、ヒロちゃんは机に突っ伏した。  せっかくの夏休みだというのに、わたしたちは部室で駄弁っていた。  ヒロちゃんは机に上半身を密着させてぼーっとしている。香名ちゃんは涼しい顔をして本を読んでいた。これぞ、いつものJK部の光景だよねぇ。  あ、でもでも、タマちゃんはまだ来ていない。少し遅れてくるらしい。妹ちゃんの数学の宿題を教えて来るって言っていた。はぅぅ……妹ちゃんと「マン・ツー・マン」でナニを教える気なのかなぁ……はぅぅ……。  わたしが妄想世界にダイブしていると、ヒロちゃんががばっと起き上がった。 「なぁ。せっかくの夏休みなんだから、プールでも行かねぇか? いつもと同じように部活でダラダラしてても夏休みを満喫した気がしねぇぜ! もっとこう、非日常が欲しいっつーかさぁ。そう思わねぇか?」  なるほど、一理ある。  長期休暇だというのにわざわざ部室で過ごす必要はない。世の女子高生は恋に遊びにバイトに大忙しだ。あえて部活を選ばなくても、選択肢はたくさんある。それに部活をするにしても外に出かけるにしても、女子力向上を目的とした活動はできるだろう。  でも、ヒロちゃんの提案には反対だ。 「わたし泳げないよぅ。ていうか、水怖いしー」 「そっか。それじゃあ、しょうがねぇか。香名はどうよ?」  香名ちゃんは読んでいた文庫本を机の上に置いて苦笑した。 「私も泳げないわ」 「へぇー意外だぜ。香名はカナヅチなのか」 「ええ。今度タマに頼んで教えてもらおうかしら」 「「それは駄目ッ!」」  ヒロちゃんと私の声がキレイにハモる。  だ、だって駄目だもん。肌を露出した格好で二人きりの秘密のレッスンなんて破廉恥だよぅ……。
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