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「な、なんでそんなに否定的なのよ……あっ! それじゃあ、バーベキューはどうかしら?」
香名ちゃんが得意気に提案する。
「でもなぁ……香名もひーなも積極的にメシを台無しにしそうだからなぁ……」
ヒロちゃんが香名ちゃんとわたしのことをジト目で交互に見た。
たしかに、わたしたちは料理が苦手だ。視線がチクチクと刺さるので、そっと目をそらした。
でもバーベキューかぁ。なんか楽しそう。JK部だけじゃなくて、蝶飛ちゃんや愛華羽ちゃんも呼んだら盛り上がるかも――あ。
すっかり忘れていた。蝶飛ちゃんから貰った「祝☆友達になった記念プレゼント」のことを相談しようと思っていたんだ。
「ねぇねぇ。二人にちょっと相談があるんだけどぉ」
わたしは背中に手を伸ばして、貰ったプレゼントを取り出した。
「何だよ相談って――って金属バット!? というか、なんで背中から出てきたんだよ!」
ヒロちゃんが例のプレゼントを見てドン引きした。うん。それが普通のリアクションだと思う。わたしも蝶飛ちゃんからこれを貰ったとき「す、素敵なバットだねぇ……」としか言えなかったもん。
しかもこのバット、背中に収納しやすいことがウリらしい。たしかにバットが入っていることを忘れるほどには、背中に生じる違和感は少ない。血の気の多いヤンキーが喜びそうな謎の機能だ。
どこで見つけたのか蝶飛ちゃんに聞いたら「アマゾンヌだよー」って笑顔で言われた。そっか、大手ネット通販サイトのアマゾンヌはなんでもあるもんね。それなら納得だよぉ。
「これが金属バット……間近で見るのは初めてだわ」
ドン引きするヒロちゃんとは対照的に、香名ちゃんは愛おしそうにバットを撫でた。その奇行とも言える愛撫の意味は、もちろん本人しかわからない。はぅぅ……鈍く光る固いバットを優しく愛撫するなんてド変態の極みだよぅ……はぅぅ……。
「で、相談ってなんだよ。このバットと何か関係があんのか?」
「うん……これ、蝶飛ちゃんから貰ったバットなのぉ」
「蝶飛って……ああ。ひーなの仲のいいクラスメイトだっけ」
もちろん、蝶飛ちゃんとは仲良しだ。
でも、自分で「仲良しだ」って言うのはちょっぴり恥ずかしい。わたしは返事をせずに小さくうなずいて話を続けた。
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