Part3 ノー罰ゲーム・ノーライフ

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 ◆ 「ふ、二人とも交換は終わったねぇ?」  ひーな先輩の様子がおかしい。笑顔が引きつっていて、声も少し上擦っている。あの様子だと、もう負け決定か?  いや……勝負は最後までわからないぞ。  というのも、僕の手札がツーペアだからだ。この役で勝てるのは、ワンペアか役ナシのブタのみ。さっきよりも勝機は薄くなった。  なにより不安なのは、さっきのゲームでダンゴムシ、もといヒロ先輩が負けた縁起の悪い役だということだった。 「じゃ、じゃあ、せーのでオープンね? せ、せーのぉ!」  ひーな先輩の震える声が部室に響いた。  一斉に三人ぶんの手札がオープンされる。  それぞれの役は……。  香名先輩  フルハウス(かなり強い)  僕  ツーペア(あんまり強くない)  ひーな先輩  ワンペア(弱い)  ひーな先輩が順当に負けやがったぁぁぁ! つまんねぇよ、このポーカー! 「ちょ、ちょっと待ってよぅ。仕組むのはよくないよぅ」 「ひーな先輩。それさっきヒロ先輩が使った言い訳ですよ?」 「うぅ……」  がっくりと肩を落とすひーな先輩。かわいそうだけど、ルールなんだから仕方がない。罰ゲームはやってもらわないと。 「観念することね。さぁ、ひーな。カードを引いて」  例のごとく、香名先輩がカードをひーな先輩に突き出した。 「うーん。じゃあ、これぇ」  ひーな先輩はしぶしぶカードを引き、テーブルの上に置いた。  そこにはこう書かれていた。 【ネコ耳を装着して男子を魅了しちゃうニャン!】  なんだって……?  お、恐ろしい。こんな罰ゲームがあるのか。まぁたしかに「可愛い」という点に関して言えば、女性の魅力を上げることに繋がるのかもしれないけれど。 「ねぇ香名ちゃん。これどうすればいいの? ネコ耳なんて部室にないしぃ――」 「あるわ」 「あるのぉ!?」  驚愕の声を上げたひーな先輩の眠たそうな目がばっちり開いた。  香名先輩は部室の奥にあるロッカーから、ネコ耳を取り出した。黒いカチューシャにネコ耳がついている。耳の外側は黒く、内側は白い。 「はい、ひーな。きっと似合うわよ」 「そ、そうかなぁ……」  ひーな先輩はネコ耳を受け取り、おずおずと頭に装着した。
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