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「へ、変じゃないかなぁ?」
ひーな先輩が恥ずかしそうに尋ねたその瞬間、ピンと立っていたネコ耳がしゅんと萎れてしまった。
こ、これはまさか――。
「脳波ネコ耳だとっ!?」
脳波ネコ耳――それは装着した者の脳波をキャッチし、その脳波に応じて耳が動くという画期的な次世代にゃんにゃんガジェット!
あまりの可愛さに、僕は人目もはばからず泣きついた。
香名先輩に。
「ねぇお母さん! この猫飼ってもいいでしょ? 僕、ちゃんと世話するからさぁ!」
「ダメよ! うちはマンションだからペット禁止! 元の場所に戻してきなさい!」
「もぅー! 何二人でコントやってるのよぅ! シャアァァァ!」
「ぎゃああぁぁぁ!」
ひーな先輩に爪で顔を引っかかれた。めちゃくちゃ痛い。
それにしても、迷いなくコントに乗っかってくれるとは、さすが香名先輩だ。まぁノリがいいというよりも、たぶん例の奇行なんだろうけど。
「もうコレ外すねぇ……って、タマちゃん。そんな泣きそうな顔でこっち見ないでよぅ」
ひーな先輩にドン引きされた。
ちくしょう! 似合ってるんだし、せっかくだからもっと付けていてもいいじゃんかよ!
「はぁ。今ので疲れたよぉ。わたし、ボルンガとハネムーンに行ってくるねぇ。ウフフフ……」
ひーな先輩は「黒ひげさん危機一発」を抱えて、窓際に移動した。先輩、なるべく早く現実世界に帰ってきてください。
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