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「さて、いよいよ私とタマの一騎打ちね」
香名先輩は赤いメガネを中指でくいっと持ち上げてカッコつけた。
「私は、この部活で最強にして無敵。それゆえ私は退屈していた。ふふふ。ずっと待っていたのよ……タマのような挑戦者をね!」
え? 嘘だよね?
まさか、香名先輩まで?
「ダメだ、香名先輩! その先のセリフを言っちゃあ――」
「さあ、始めましょう! 最終的には私が勝つ、退屈しのぎのポーカーを!」
「もうこの時点で僕の勝ちだよ!」
どうして負けフラグ立てるんだよぉ! ゲーム的な面白さ皆無だよぉ!
「私は勝負が好きなんじゃない。勝つのが好きなのよ!」
「それ最終的に負ける敵キャラのセリフぅ! これ以上フラグ立てないでくださいよ!」
「ほぉ。口だけは一丁前のようね」
「それは僕のセリフですよ……」
「ふふふ、気に入ったわ。せいぜい楽しませてよね!」
最後に再び負けフラグを立てた香名先輩はカードを配った。
……ため息をこらえて、僕はカードを受け取った。
◇
「……カードノ交換ハ、オワッタワネ?」
香名先輩は放心状態だ。先輩の手札、かなり弱いのだろう。
「タマったら顔色悪いわよ? やり直す?」
「いえ、これでいいです」
「そう。タマったらしょうがないわね。それじゃあ、やり直しましょう」
「人の話を聞けよ! ズルしないでください!」
僕は手札を捨てようとした香名先輩を制した。
「むぅ。わかったわよ……やってやるわよ!」
香名先輩の瞳に、再び闘志が宿る。切れ長の目で睨まれた僕は、おもわず唾を飲み込んだ。
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