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さっきまでは確勝だと思っていたけど、今の先輩の態度を見て僕は焦りを感じざるを得なかった。なぜなら、もしも香名先輩の手札が悪かったのなら、ここまで強気にはなれないはずだからだ。
しかも……僕の役はワンペア。この役で勝てるのは、役ナシのブタだけだ。
香名先輩もワンペアということも考えられるが、同じ役なら数字が高いほうが勝つ。僕の役は「4」が二枚のワンペアだ。勝機は薄いだろう。
それに良く考えてもみろ。香名先輩はこれまでずっとフルハウスの役を作っている。先輩にとっては、ツーペアやスリーカードだって悪い役に当てはまるのかもしれないじゃないか。
「いいわね、タマ。これが最後よ……せーのっ!」
くっ、考えても仕方がない!
僕たちは同時に手札をオープンした。
僕 ワンペア(弱い)
香名先輩 ブタ(カス)
また自滅かよ! はいはいフラグ回収乙!
「ふっ……」
安定のフラグ回収率に、おもわず失笑してしまう。香名先輩のあの強気な態度はなんだったんだよ……。
「……負けたわ。さすがタマね」
香名先輩は表情をゆるめた。いや、そんなゲーム後の「相手を褒め称える敗者」キャラ演じなくていいですから。
「潔く例のカードを引かせていただくわね」
香名先輩は伏せられたカードを一枚めくった。
どれどれ。罰ゲームの内容は……。
【モテようとして、ビッグセル型の黒いサングラスをかける。似合ってないし、モテようと必死すぎワロタww】
「いいわ。かけてやろうじゃないの!」
香名先輩はロッカーからサングラスを取ってきた。
サングラスは真っ黒で、とにかく大きかった。小顔の香名先輩がかけたら、アンバランスなのは明らかである。
うん……絶対に似合わないな、これ。
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