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「も、もういいですよ香名先輩。これ以上傷つく必要はないです」
「何言ってるのよ。傷つきはしないわ。むしろ、サングラスをかけることを望んでいるくらいよ。だって、ヒロとひーなの元へ行けるのだから……」
「いや二人とも生きてますよ!?」
「タマ! その目に焼き付けなさい! これがあなたの憧れた先輩――金井香名の死に様よぉぉぉぉぉ!」
「それ犬死にですって!」
あと憧れてないから。勝手に自分は尊敬されている設定作らないでよ。
僕のツッコミも虚しく、香名先輩はメガネを外してサングラスをかけた。
やはりサングラスのフレームがデカすぎる。かける前からわかっていたけど、香名先輩にサングラスは似合わなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ……どう?」
香名先輩は息を切らしつつも僕に尋ねた。どこか期待をしているかのような、ウキウキしているかのような声音だった。
僕はニッコリと笑って言ってあげた。
「クソ似合ってないですね」
「そんなこと訊いてないわよ!」
「痛い痛い! 叩かないでくださいよ! な、何が言いたいんですか?」
「昔の刑事ドラマに出てきそうな雰囲気が出ているか訊いてるのよ」
「え? あ、うん……ええ。出れるかもしれません」
出演したら、死亡フラグが立つんだろうなぁと思った。
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