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「う、うーん・・・」
男子高校生が目を覚ますと、そこは喫茶店の一席だった。頭を打ち、気絶した彼を、晃太郎が運び込んだのである。
「お前は阿呆だな。幽霊助けるために、自分の命を捨ててどうする。」
「いてて、え?幽霊?」
「人の仕事を増やすな!このど阿呆がっ!」
男子高校生は混乱していた。あれが、幽霊?あんなにハッキリ見えていたのに?
そんな彼の様子を、足を組みながら、コーヒーを飲みながら、小説を飲みながら、晃太郎は観察していた。
やがて彼も視線に気づき、アワアワと言葉を探した。
「あっ、あの・・・ありがとうございました。助けて頂いて・・・俺、笠根翔介っていいます。」
「ん。よろしい。挨拶は基本だ。自己紹介もな。僕は尼崎晃太郎。危うく担当の霊が二人に増えるところだった。」
晃太郎はそう言って、眉をピクリと上げ、コーヒーを啜った。
「あのぉ、それなんですけど、本当にさっきの女子高生は幽霊だったんですか?だって、あんなにハッキリ見えていたし。」
「今から三週間前、17時51分にあそこで飛び降り自殺。名前は茗荷谷遥香。18才。目の前で恋人が殺されて、精神憔悴状態。以後、毎日同じ時間に飛び降り自殺をしていた模様。発覚は、霊感のあるドライバーが急ブレーキを掛けて起きた事故。同じことが起きないよう、僕に救霊の依頼が回ってきたってわけ。OK?」
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