プロローグ

6/11
前へ
/11ページ
次へ
翌日、頭が痛いのを我慢して、翔介は学校へと出て来ていた。 昼休みに第二科学準備室に行け。入学して半年になるが、そんな部屋見たことがなかった。 行かない、という選択肢も考えた。しかし、妙に意味有り気な晃太郎のあの感じが気になってはいた。 霊を救う仕事・・・それを職とする男。好奇心が湧くような、関わり合いたくないような、紙一重の気持ちだった。 結局、翔介は行くことにした。実際、授業が頭に入ってこない。昨日の出来事が頭の中で反芻している。いっそあの男の言う通りに行動して、綺麗さっぱりした心に戻そう。というのが結論だった。 担任教師のナベさん(本名:渡邊奈津代)に第二科学準備室について聞いたところ、第二科学準備室というのは、科学準備室の倉庫のようなところで、科学準備室自体が倉庫のようなところであるので、つまりは倉庫の倉庫のようなところである。という答えが返ってきた。 その説明だけでも、いいことなんて起こりそうもないのに、加えてナベさんはこう言った。 「場所が旧校舎の二階の端っこなんだけど、人目につかないでしょう?どうも変な生徒が出入りしてるらしいのよ。怖いわ~。あんなところに、何しに行くの?」 「いえ、別に・・・」としか言えなかった。 心躍るような情報は期待していなかったが、マイナス情報はやめてくれよ、と、翔介は肩を落とした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加