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そして・・・・
妻は実家に帰っていた。
妻と会わなくなってから1週間後、仕事が終わり家に帰ると、台所のテーブルの上に離婚届か置いてあった。結婚してくれと言ってきたのは妻の方から。離婚してくれと言ってきたのも妻の方から。
私は勝手な女だなあ。と思ったが、離婚届にサインと印鑑を押した。
今思えば、結婚した時から、妻とは上手くやっていけそうな気がしなかった。
私は、それほど妻のことが好きじゃなかった。もう歳が35になっていたので、とりあえず結婚したのだ。
次の日、仕事から帰って来ると、テーブルの上に置いてあった離婚届がなくなっていた。
それを見て、なんだか急に寂しくなり、悲しくなった。最後は最悪な家庭状況だったが、結婚当初は、それなりに楽しくお互い笑ったりしていた。ここにきて急に、そんなことを思い出し始めた。
俺はバカだ!!大切なものを失ってしまった!!
次の日の朝、俺はスーツを着て仕事に出かけようとすると、2人の刑事が玄関口に立っていた。
俺の職業は泥棒。
こないだ中階層が集まっている高級マンションに入ったとき、防犯カメラに俺の姿が映っていたのだ。この近辺で、泥棒をやっている者達が集まる会議では、このマンションにはまだセキュリティ・システムが設置されてないと言っていたのに。
だから俺は油断をしていた。
俺は2人の刑事に連れられて、パトカーに乗った。
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