1 かーき

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ネコさんの毎日は、くすんでいました。 ネコさんは週に6日、カフェでウェイトレスのバイトをしています。 おしゃれでデザートがおいしい人気のカフェでしたが、ネコさんは楽しくもなんともありません。だって、オーダーとって、注文品を運んで、テーブルを片付けて、お皿を洗って、掃除して。こんな仕事のどこが楽しいというのでしょう。 楽しくないから気がきかないのか、気がきかないから先輩たちに小言を言われ楽しくないのか。とにかくよく小言を言われてさらに気持ちが塞ぎます。 例えば、ネコさんは、こんなことをよく言われるのでした。 「ブスッとしてるよ。笑顔、笑顔」 嬉しくもないのにお客様に作り笑いし続けなきゃならないなんて、苦痛以外の何物でもないじゃない。ああ、やだ、やだ。 でも、働かないとアパートの家賃が払えないし、払えないと田舎に帰らなければならないので、仕方なく、毎日だるだるとカフェに通っています。 仕事を終えると毎日クタクタ。家に帰っても一人きりだし、楽しいことは何もないので、早番の日は疲れた足をひきずって、明るい街中を目的もなく、ぐずぐず歩き回ってから帰ります。 ある日、そんな風に街中をぐずぐず歩いている途中、ネコさんは、フクロウ編物店のショーウインドーに、釘付けになりました。 かわいい! 素敵!! こ~んなすごいドレスを手編みできるなんて、信じられない! そこには、店長のフクロウさんが編んだ、ベージュのニットドレスが置いてあったのです。 ネコさんは、そんなにすばらしい手編みのドレスを見たことがありません。 編物経験ゼロのネコさんには、どうやって作るのか想像もつかない編み目模様が何種類も使われており、襟元やウエストやスカートには、かわいいフリルまでついているのです。
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