2 どれす

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2 どれす

ほんとにすごい。 どうやったら、こんなことができるの? ネコさんがガラスに鼻をべちょっとつけてじろじろ見続けていると、いきなりお店のドアが開きました。 「あの、良かったら、中を御覧になりませんか?」 フクロウさんでした。 「は、はい!」 ネコさんはピン!と耳を立てて返事をすると、跳びはねるように中に入りました。するとフクロウさんは、後ろ手に隠し持っていた窓拭きスプレーを、ネコさんが鼻を押し当てていた辺りにしゅぷしゅぷかけ、やっぱり隠し持っていた雑巾で、ササッと吹きました。そこがネコさんの鼻水だらけになっていたのです。そしてまた後ろ手にスプレーと雑巾を隠して中に入ると、ネコさんがうっとりして立っていました。 「これ、ぜ~んぶ店長さんが一人で編んだんですか?」 「ええ、そうですよ」 「すごい!ほ~んとにすごい!!店長さん天才!!」 店の中には、ブルーのグラデーションのセーターや濃紺のポンチョ、ピンクのカーディガンやダークグリーンのワンピース、たくさんの、素敵な素敵なニットがディスプレイしてあったのです。みんな、おしゃれなフォルムと凝った編み目の美しい、すばらしい作品でした。 フクロウ店長はカウンターの下にそっとスプレーと雑巾を隠すと、にこにこして言いました。 「ありがとうございます。あなたのようなチャーミングなお嬢さんに言っていただけると、とても嬉しいです。着ていただけたらもっと嬉しいですけれど」 「ええ、ぜひ着たいです!」 ネコさんは、何枚も何枚も試着して、どれも素敵でしたがやっぱりショーウインドウのベージュのニットドレスが素敵過ぎて、お値段は素敵とは言えなかったのですが、思い切ってお金をおろしてきて買ってしまいました。 ニットドレスの入った紙バックを受け取りながら、ネコさんはため息をつきました。 「こんな素敵なお洋服が自分で編めたらどんなにいいでしょう・・・」 「あら、編めますよ。そりゃ最初からドレスは無理ですけど。簡単なものから始めたらね。  良かったら、お教えしましょうか?」 ネコさんは瞳をまん丸くして答えました。 「ええ、ぜひ!」
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