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「あのね、蘭さんがクリスマスプレゼントだから、洋のところに行く時に着ていきなさいってくれたの」
そう言った彼女は、真っ赤なワンピースを着ていて、襟と袖とスカートの裾に白いファーが施されていた。頭には赤い三角帽子が被せられてあり、どっからどう見てもサンタのコスプレだった。
あろうことかスカートはとても短く、長い足が伸びていて、黒のニーハイブーツが凛の肌の白さをより強調させていた。
「り、凛!」
いやいや、止めろよ神崎家! いくらマンションの前まで見送るったって、こんな格好で出歩かせるなんて危険過ぎるだろ!
俺は急いで凛の手を掴んで家の中へと入れる。慌てた様子の俺を見て、凛が「洋……変?」と小首を傾げた。
変なわけがない。こんなに可愛いサンタがどこにいるんだよ! 全国の男が前屈みになってもおかしくないほどいやらし……いや、可愛い。
「変じゃないよ。すっごい可愛いけど、こんな格好で外に出ちゃダメだよ」
「なんで?」
「何でって……」
何ではこっちの台詞だよ。何でこの子はこんなにも危機感がないかな……。
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