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「取り敢えず、落ち着いて下さい。そうだ、フード付きの服とサングラスで誤魔化せますよ」
そう言うと景壱は、自分の部屋へサングラスを取りに行く。
学生の頃、かっこつけようとして買ったサングラスである。
机の隅で埃のかぶった箱を掴み、そのままリリーの元へ向かう。
リリーは既に猫を模したフード付きの服に着替えを済ませ、しゃがんで泣いていた。
「泣かないで下さい。きっと戻れますから」
「うう、気休めは止して下さい」
景壱からサングラスを引ったくる様に受け取る。
「俺、出かけますけどリリーさんはどうします?」
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