終わりと別れ

11/368
617人が本棚に入れています
本棚に追加
/853ページ
「取り敢えず、落ち着いて下さい。そうだ、フード付きの服とサングラスで誤魔化せますよ」 そう言うと景壱は、自分の部屋へサングラスを取りに行く。 学生の頃、かっこつけようとして買ったサングラスである。 机の隅で埃のかぶった箱を掴み、そのままリリーの元へ向かう。 リリーは既に猫を模したフード付きの服に着替えを済ませ、しゃがんで泣いていた。 「泣かないで下さい。きっと戻れますから」 「うう、気休めは止して下さい」 景壱からサングラスを引ったくる様に受け取る。 「俺、出かけますけどリリーさんはどうします?」
/853ページ

最初のコメントを投稿しよう!