もどかしい始まり

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控え目に雪がちらちら降りだした頃、リリーが玄関の不審な男と口論をして一時間が立っていた。 「違うって新聞じゃなくて……」 「宗教も牛乳も結構です。帰って下さい」 口論と言ってもリリーが一方的に話すので話が進まない様である。 「いや、スカウトで……」 「スカートも間に合ってます」 諦めた様に男は、すごすごと帰って行く。 「リリーさん凄いや。勧誘を追い返すなんて」 「ああいうのは、がつんと言ってやると良いんです」 少し自慢げに言うリリーを見て大した者だと尊敬の眼差しを向ける。 「あ、リリーさんフード被ってないんですね」
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