壊れる日常と一握りの希望

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「さて、どうしたものかな」 光の射さない森の中を一人歩きながら習志野は呟く。 「まったく。こんな場所に放り出されるとは思わなかったな。早く帰らないといけないのに」 スーツのポケットからスケジュール帳を取り出しながら習志野言う。 「ふぅ、少なく見積もっても数千万の損害だ」 習志野の中で何かもやもやした気持ちが生じていた。 何故、そんなものが生じるか習志野自信にも分からなかった。 「大きな損害が出たからか、それとも帰れる保証が無いからか……。違うな」 習志野は考えようとしたが、そんな場合ではないと考えるのを止めた。 暫く、宛も無く習志野が歩いていると、男を背負った美しい女性が数十メートル先を歩いているのが目に入った。
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