壊れる日常と一握りの希望

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道中で彼女は自分が山姫という妖怪である事、過ちを犯し暴れまわっていたが親切な人間に出会い助けられた事、自分の所為で徳善は倒れ、今の状態になってしまった事を話した。 習志野は、ただ、いつも通り笑顔でそれを聞いていた。 「このまま道沿い下って行けば人里に着くよ」 「ありがとう。何かお礼をさせてくれないか?」 「あはは、お礼なんて良いよ。したいからしただけだし」 「いや、それじゃあ私の気が済まない。そうだ、背中の彼に触れても構わないかい?」 山姫の返答を待たず、習志野は徳善に触れた。 すると、徳善はゆっくりと目蓋を開けた。
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