壊れる日常と一握りの希望

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「案内してもらったお礼だから気にしないで良いよ。じゃあ、これで」 軽く頭を下げ、習志野は山姫に背を向ける。 暫く歩き、何気無く後ろを振り向くと山姫はこちらに向かって頭を下げ続けていた。 「分からないな。何が、そんなに嬉しいんだろう? 者や人に執着した事が無いからな。まあ良いか。タクシーでも探して帰るとするか」 辺りを見渡し軽トラが一台しか走っていないの見て、やれやれといった感じで習志野は、ため息を吐く。 「……逃げて」 声に気付き振り向くと上着と腰に布巻いただけの姿の角の生えた少女が膝をついて震えていた。
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