壊れる日常と一握りの希望

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その声に一切反応せずに習志野は、何処かに行ってしまう。 「……霜月の三日月の日が近付いている。その日が来る前に手を打たなければ何も出来なくなる……!」 悔しそうに奪希は言うと、空気に溶け込む様に姿を消す。 空に暗雲が立ち込め、大地を揺らす様な大きな雷が落ちる。 「何か良くない事が起きるな……」 空を睨む様にして夢見堂の老人は呟く様に言うと懐から一枚の札を取り出した。 そして指を噛み血を出すとその血で札に文字の様なものを書く。 すると、札は意思を持った様に勢い良く窓の隙間から外に飛び出していった。 「これで何とかなるとは思えんが……。今のわしにはこれが精一杯だ。任せたぞさくやちゃん」
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