終わりと別れ

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そして自分の右手の指を眺める。 「不完全とは言え災難男の力をコピー出来たのは大きな収穫だ。だが、まだ足りない。これだけでは、目的を成し遂げられない」 真宮の声は誰の耳に入るでもなく憤りに近いものだけを残し空気に馴染んでいくのだった。 稲荷神社の祠の前で稲荷大明神様は神妙な顔をしながら腕組みをしていた。 「稲荷大明神様!! 遅れて申し訳ありません」 「構わぬ。して、裁火よ。何か分かったか?」 稲荷大明神様は冷静を装おっている様であったが、答えを急かす様に早口になっている。 「はい。先月から今月までに入ってからのこの町の行方不明者六十七人、全員が既に亡くなっていました……」
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