終わりと別れ

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「六十七……。多すぎるのう。権造の勘違いでは無かったか……」 予想外の答えだったのか稲荷大明神様の表情に焦りの色が見て取れた。 「稲荷大明神様に仕える狐達も被害を食い止める為、力を尽くしていますが力及ばず……。申し訳ありません」 裁火は狐の姿で稲荷大明神様に頭を下げる。 「頭を上げよ裁火。そなた達を責める気はない。それより、原因を取り除く事が先決であろう」 稲荷大明神が手を空中にかざすと、そこに奪希の姿が浮かび上がる。 「この者は? 真宮、山神の二人が元凶なのでは?」 「確かに手を下したのは二人で間違いないが、その原因を作ったのはこやつだ。……この世で一番残酷な神、奪希。わらわは、こやつ以上に狡猾で残酷な神は知らぬ」
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