終わりと別れ

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「これが、神?」 驚いた様に裁火は浮かび上がる奪奇の姿を眺める。 「神とは思えぬ禍々しい顔をしているであろう? その顔が本性を現していると言っても過言ではない」 唾を飲み込む音がした。 裁火の中で奪希に対する恐れが生じ始めていたのだ。 「恐れるな裁火。幸いな事に今年が、神代わりの年に当たるのじゃ」 「神代わり? 確か、役目を果たさない神が力を奪われ、別な神が代わりにその役目と力を引き継ぐという千年に一度の神が裁かれる日、でしたよね」 「うむ、そうじゃ。こやつは神の役目を果たさぬばかりか、自ら殺戮を楽しみ、そればかりか人や妖をそそのかし争いを引き起こし数えきれぬ程の者達を間接的に殺した。裁きは免れぬ筈だ……」
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