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「……すまない」
「何故、私が怒っているか分かりますか?」
「俺の所為で迷惑かけたから……」
楠野が、そう言いかけた途端にリリーは彼の襟を両手で掴む。
「違います。それだけじゃありません。一番怒っているのは、私達を頼らなかったからです。仲間の私達を」
リリーの瞳から涙がこぼれ落ちる。
「それは、お前達を真宮達に近付けたくなかったからだ。真宮達は何をするか分からなかったから……」
「そんな事ですか? 二人がどんな危険な妖怪だろうが私達の前じゃ小石ほどの些細な障害でしかありません。そうですよね、景壱さん」
リリーの気迫に負け思わず景壱は頷く。
「だから私達を頼って下さい。危険や苦しい事を共に乗り切るのも仲間の役目ですから」
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