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何かを探るような目付きで老人は景壱の顔を覗く。
「そ、それは……」
「麗香さんに教えてもらったんじゃないんですか?」
「そ、そうなんです。ある女の子の呪いを解く方法を聞いたら麗香さんが教えてくれたんです」
老人は疑いの眼差しで景壱を見ていたが、頷きながら「そうか」と答える。
「確かに、霊力が強く代々、妖に関わる仕事に携わって来た高梨家なら、そんな方法が有ることを知っててもおかしくないか……。分かった。面倒かもしれんが、今夜九時に酒を持って儂の店に来い。兄ちゃん一人でな」
景壱の肩を、ぽんと軽く叩いて老人は何処かへ行こうとする。
「待って下さい。どうして今じゃないんですか?」
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