終わりと別れ

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「店長ぉ、やり過ぎないでよぉ。あくまで、俺らは懲らしめに来ただけだからねぇ」 釘を刺すように恭治は言うと煮物の芋を口に運び、ご飯をかきこむ。 「分かってるよ。俺だって無駄な殺生をする気はねえ。いたずらっ子を拳骨で言い聞かせるだけだ」 自分の握った拳を顔の前まで持って来ると、店長は、にやりと笑う。 「……真宮達には同情するよぉ。お、楠野君も連れて来られたみたいだよぉ」 洞穴の入り口の方から騒がしい声が聞こえ、間もなく縄で縛られた楠野が洞穴の中央に放り投げられた。 「団三郎様、楠野とか言う怪しい男を連れて来ました」 子供の背丈くらいの二匹の狸が同時に自慢気に答える。
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