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ばつの悪い顔をして楠野は黙っている。
「ははは、やられたね楠野。流石、災難男君だ」
いつの間にか現れた満面の笑みを浮かべた男が楠野の方をぽんと叩く。
「私がEMIの責任者の習志野 郁琉(ならしの いくる)と申します。君の事は秋穂から聞いていてね。君に興味を持ったんだよ」
「秋穂さんが働いてる店って……」
「私の店さ。どうだい来て見ないかい? 試しに一ヶ月働いてやっていけなさそうなら辞めてもらって構わないから」
知っている人物の名前が出たので、信じて良いのかもしれないと景壱の心は揺れていた。
それに一ヶ月だけ働いて、反りが合わなければ辞めてしまえば良いだけだ。
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