交通量調査

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交通量調査

 学校の授業の一環で、交通量の調査をした。  数人で班を組み、車や自転車、徒歩といった、道を通る人の数を数えるのだが、調査途中でおかしなことに気がついた。  メンバーの一人が、通る者など誰もいない時でも、カシャカシャと機械でカウントを取るのだ。  そういえば、みんなここに来る前に、お前は車輌、お前は歩行者といった具合にカウント対象を割り振られているのだが、そいつは何を数えろと言われていたのか。 「俺の担当? 全部だよ」  気になって聞いてみたら、そいつはこともなげにそう言った。 「集計確認のために、何が通ってもカウントしてくれって言われてるんだ。ここの道、交通量少ないから助かったけど、多かったらとんでもないことになってるだろうな」  多い少ない以前に、確実に誰も通ってない時がある。なのにそいつはカシャカシャとカウントを増やす。  割り振りの状況からして、先生は、こいつが『俺達には見えない通行人』が見えるって判ってるんだよな? 本人はまったく気づいてないみたいだけど。  交通量は少ないが、それでも確実にそいつのカウントだけは増していく。その様子を見ながら俺と他の連中は、見かわす視線で、もうここの道は通らないようにしようと誓った。 交通量調査…完
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