Sign of Love

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 それでも心が言うことをきかない時は、一体どうしたらいいんだろう。  坂巻さんがテーブルに戻ってくるのと同じタイミングで、注文していたプレートが運ばれてきた。セビチェやスパニッシュオムレツが乗った多国籍なデリが数品に、フォカッチャが入ったバスケットまでついている。女の人の夕食としては満腹コースだし、残業帰りの男の人なら、遅め一食として量もちょうど良さそうだ。 「仕事の電話ですか?」 「うん。業務クラウドのエラー報告だった。……やっぱり後付け機能にも限界があるな。拡張性のあまりないシステムだったのを無理やり改変し続けてるから、重いんだよな」 「もしかして、直しに行くんですか?」 「ううん、とりあえずは大丈夫。いずれは根本的なところから直さないといけないだろうけど」 「……大変ですね。自分のしたことを棚にあげて言うみたいですけど、掛かってくる電話って良い話なさそう。わたしだったら、電話のたびに毎回トラブルだったらきっと嫌になっちゃいます」わたしは坂巻さんの気持ちに少しでも同調しようとそう言ったのに、 「そうかな? ……いや、でも確かに僕も初めのころは嫌だったかもしれないな。自分の知識や技術に自信がなかったから」と、かえって気を遣われてしまった。
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