Sign of Love

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「……おはようございます」頬が燃えるように熱い。こんな状況じゃ言い訳も出てこない。 「飲み会には佐倉も来るだろう? 頑張れよ、相手が坂巻ならかわいい佐倉を安心して嫁に出せる」 「やめてくださいっ、坂巻さん彼女いるしいいんです。わたし、仕事で側に居られるだけでも十分幸せなんです」 「ん? おととい飯に行った時、しばらく彼女いないって言ってたけど」 「……えっ?」  それじゃあ、この間見た親密そうなメッセージの相手って友達? それでも、それが女の子の可能性だってある。……あるかな? 坂巻さんの性格からすると考えにくいけど、あまり都合の良いように考えてしまうと、違った時のダメージが大きい。  噂をすれば、新井さんの肩の向こう側に坂巻さんの姿が見えた。水色のストライプシャツには、今日も綺麗にアイロンがかかってる。シャツの胸元を見ていても頬が緩んでしまいそうで、歯を食いしばって唇を横に引く。 「おはようございます」  涼しげな声がした。新井さんは坂巻さんに向き直る。 「おはよう。……あー、坂巻。この間話してたシステム統合の件で、午後一にちょっと時間取って欲しいんだけど」 「わかりました。トップダウンですが僕なりに一通り試算してみたので、資料出しておきます」
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