Sign of Love

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「うん、頼むよ。しかしさすがに仕事が早いな」 「以前から相談を受けていましたし」  新井さんは満足げに頷いた。 「じゃあ俺は会議の準備があるから行くわ。ふたりとも、またあとでな」  さも意味ありげな目配せを残して、新井さんはシステム課を出て行ってしまった。坂巻さんはなんだか不思議そうにしていたけれど「今日は早いんだね」と、こんな場所にいる理由を訊くでもなく鞄を置いて、ジャケットを椅子の背にかけた。  ふたりきりは嬉しいけれど、まだ全然慣れない。 「夜は飲み会があるし、早めに仕事始めようと思って。坂巻さんも来るんですよね」 「うん。多分システム課もみんな行くんじゃないかな?」言いながら、PCの電源を入れる。  仕草ひとつひとつを見逃すまいと、あまりにも凝視しすぎていたせいなのか、坂巻さんが振り向く。驚いたわたしを見てくすっと笑った。  好き。いつかちゃんと言葉で伝えられるように、坂巻さんのことを誰よりも解かりたい。  坂巻さんはポケットに手を入れて、キャメルのコインケースを取り出した。 「佐倉さんもコーヒーでいいかな」  そのさりげない一言で、朝のひと時が幸せに包み込まれた。 -fin-
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