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『佐倉華美です。今日はごちそうさまでした。あと、送ってくれてありがとうございました。坂巻さんとお話ができて嬉しかったです。また仕事で迷惑をかけてしまうことがあるかもしれないけど、これからもよろしくお願いします。おやすみなさい』
ベッドに掛けて、送られてきたメッセージを読んでいると、優月くんがにやにやしながら僕の隣に座り直してきた。
「会社の子?」
「うん」
隣からじっと画面を見られていると、どうといった内容じゃなくともなんだか返事が打ちにくい。
『坂巻慎吾です。今日はありがとう、僕も佐倉さんと話ができて嬉しかったです。困った時にはいつでも声を掛けてください。おやすみ』
送信して、テーブルの上にスマートフォンを置いた。
「ちょっと淡白なかんじだけど、不思議だよなあ。そんなところもまた、まきちゃんの魅力なんだよね。話し方も顔も声もさ、まきちゃんって全部がちゃんとまきちゃんってかんじ」
缶ビールのプルタブを引きながら、優月くんは管を巻く。僕の家に来る前に、新宿で友人と散々飲んでいたらしいが、ここでまた飲み始めるのだから仕方がないか。
明るい髪色とカジュアルな服装は一見大学生風だが、優月くんは有名なITベンチャーに勤めるプログラマーだ。夏に偶然知り合って、勢いで一緒に海へ行ったのがはじまりだったが、不思議な縁は今でも続いている。
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