Sign of Love

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「実は、神長くんが作ったデモシステムが完璧で、新システムが必要がないくらいだった、とか?」 「いや……、なんかそういう次元も超えちゃってる。うちの社長が『集中して欲しいから』って、神長の書いたコードを共有にしなかったんだよね。で、この間いきなりその時のやつ見せられたんだけどさあ」  そこまで言って、優月くんは溜め息をこぼした。 「簡潔すぎて、何がどうなってんのかさっぱりわからなかった。チームで仕事するとさ、『誰でもわかるように』とか『後々でも共有できるように』って、ルール決めて書くじゃん? 神長も当然そういうのはキチッとやるんだけど、きまり云々全部なくして、あいつが自由に書いたのを見たら、もう。社長があのとき俺らにコードを見せなかった理由がわかった。あれは何十年もコーディングやってる人を退職に追い込む破壊力あるよ」  そこまで言うのだから、余程なんだろう。それを見たら僕も打ちのめされそうだが、同じエンジニアとして、神長くんの作ったものに興味がある。 「目標に出来る人が身近にいるっていいよな。否が応でも技術が引っ張り上げられていくし。羨ましいよ」 「程度によるよ~。日々挫折。……これで神長が性格悪けりゃ文句言ってすっきり出来るけど、あいつ本当にいいヤツだし、文句すら出ないからもうやるしかないっていうか。だからさあ、今の俺には彼女作って現を抜かしてる暇はないなって」
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