Sign of Love

60/65
前へ
/65ページ
次へ
「優月くんのそういうとこ、いいなって思う」 「えー? 俺はまきちゃんの全部が好きだよ」  本人は良くわかっていなさそうだが、人を当たり前のように認められる素直さや諦めずに努力し続けられるところが、優月くんの武器なのだと思う。  優月くんは一度大きく欠伸をしてベッドの上に足を持ち上げ、そのまま目を閉じた。上から毛布をかけてやると、十秒後には寝息を立てはじめる。仕事で疲れているのもあるんだろう、このままゆっくり寝かせてあげたい。僕は音を立てないように、そっと立ち上がった。  リビングの奥にはワークスペースがある。ベッドをリビングに配置してまで、1LDKの貴重な一室を仕事部屋にすることを友人たちは不思議がる。扉を開けて電気をつける。以前在籍していた会社では、わからないことがあればいくらでも周りに聞けたが、今は立場的にもそういうわけにはいかない。システム関係においては、僕の持っている知識がそのまま会社のブレーンに直結するからだ。 幅広い知識が必要で、最初は冷や汗ものだった。構造から仕組みを飲み込むためには実際に触ってみないと分からない部分もあり、色々と試しているうちにガジェットが膨大になり、今に至る。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

598人が本棚に入れています
本棚に追加