8/13
前へ
/15ページ
次へ
「さて、静かになったことだし、始めようか」  スピーカーからは、教室の暗い雰囲気とは反対に、明るい声が響く。 「クイズに答えて脱出しよう! 生死をかけた命のクイズ! デッド・オア・コレクト! ドンドンパフパフー!」  問川の言葉に、全員の顔が引きつった。  生死やデッドなど嫌な文字の羅列に、何が起こるのかと恐怖する。 「ルールは簡単。僕の出すクイズに正解して、閉じられたドアを開くだけ。たったそれだけで皆は解放されるんだ。ね、簡単でしょ?」  誰も反応を返さない。  いや、返すことが出来なかった。 「うーん。全員、大人しくてよろしい。じゃあ一問目」  耳を澄ませて、問川の問題を待つ。  それは、断頭台の前に立ち、これから処刑されるのを待つかのような気分だった。 「あなたが目覚めると朝でした。さて、その日は何月何日でしょう?」  誰も何も言わない。  肩透かしをくらったかのようなポカンとした顔で、皆はスピーカーを見つめた。 「……それ、だけ?」  友名の隣に立っていた長谷川が呟く。 「そうだよー。あれ? 難し過ぎたかな? でも、問題は変えてあげないよ」  クラスメイトたちはもっと複雑な問題が出ると思っていた。  わざと数学の難問を出したり、英語以外の言語の問題を出したりして、解けない自分たちを殺すのではないかと。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加