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「さて、静かになったことだし、始めようか」
スピーカーからは、教室の暗い雰囲気とは反対に、明るい声が響く。
「クイズに答えて脱出しよう! 生死をかけた命のクイズ! デッド・オア・コレクト! ドンドンパフパフー!」
問川の言葉に、全員の顔が引きつった。
生死やデッドなど嫌な文字の羅列に、何が起こるのかと恐怖する。
「ルールは簡単。僕の出すクイズに正解して、閉じられたドアを開くだけ。たったそれだけで皆は解放されるんだ。ね、簡単でしょ?」
誰も反応を返さない。
いや、返すことが出来なかった。
「うーん。全員、大人しくてよろしい。じゃあ一問目」
耳を澄ませて、問川の問題を待つ。
それは、断頭台の前に立ち、これから処刑されるのを待つかのような気分だった。
「あなたが目覚めると朝でした。さて、その日は何月何日でしょう?」
誰も何も言わない。
肩透かしをくらったかのようなポカンとした顔で、皆はスピーカーを見つめた。
「……それ、だけ?」
友名の隣に立っていた長谷川が呟く。
「そうだよー。あれ? 難し過ぎたかな? でも、問題は変えてあげないよ」
クラスメイトたちはもっと複雑な問題が出ると思っていた。
わざと数学の難問を出したり、英語以外の言語の問題を出したりして、解けない自分たちを殺すのではないかと。
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